コールセンターのインバウンドとは?アウトバウンドとの違いを解説
目次
「インバウンドは、かかってきた電話に出て答えるだけの仕事」。インバウンドは「受電」の一言で説明されることが多く、そう受け止めている担当者もいるはずです。
しかし実際には、電話を受ける前に「誰が、何を見て、どこまで答えるか」を決めておけるかどうかで、窓口の品質は大きく変わります。受けた後の話し方を磨くより先に、受ける前の準備を整えることが欠かせません。外国語の問い合わせへの対応も、同じ準備の中で決めておけます。
本記事では、インバウンドの意味とアウトバウンドとの違い、業務内容、必要なシステム、品質を上げる運営、外国語の問い合わせを受ける体制までを解説します。
コールセンターのインバウンドとは

コールセンターのインバウンドとは、顧客からかかってくる電話を受けて対応する業務のことです。英語の「inbound(内向きの)」が語源で、問い合わせ窓口や注文の受付、サポートダイヤルがこれにあたります。
電話に加えて、メールやチャット、問い合わせフォームで届く連絡までまとめてインバウンドと呼ぶ企業もあります。電話とそれ以外の窓口を一か所で受ける拠点は、コンタクトセンターと呼ぶのが一般的です。
インバウンドという語は、使われる場面によって3つの意味を持ちます。
使われる場面 | 「インバウンド」の意味 |
コールセンター | 顧客からかかってくる電話やメッセージを受けること |
観光 | 訪日外国人旅行者、またはその受け入れ |
マーケティング | 顧客に自社を見つけてもらう集客の手法 |
観光のインバウンドとコールセンターのインバウンドは別の意味ですが、訪日客や在留外国人から電話がかかってくる窓口では、受電業務の相手が外国語を話す顧客になることもあります。
アウトバウンドとの違い
インバウンドとアウトバウンドを分けるのは、顧客から電話がかかってくるか、企業から電話をかけるかという向きです。向きが逆になると、業務の目的も成果の測り方も変わります。両者を5つの観点で比べると、次のとおりです。
観点 | インバウンド | アウトバウンド |
電話の向き | 顧客からかかってくる | 企業からかける |
主な目的 | 用件の解決、受付 | 販売、アポイントの獲得、督促、調査 |
主な業務 | 問い合わせ対応、注文受付、解約受付、クレーム対応 | テレアポ、商品の案内、料金の督促、アンケート |
成果の測り方 | 応答率、一次解決率、顧客満足度 | 成約率、アポイント率、架電件数 |
報酬の傾向 | 時給制が中心 | 成果に応じたインセンティブが付くことがある |
アウトバウンドでは、顧客リストに沿って発信の量と時間帯を企業側で決められます。電話が鳴る時間を選べないインバウンドでは、曜日や時間帯ごとにかかってくる電話の件数を見込み、オペレーターの人数を決めることが運営の中心になります。
インバウンド業務は4つある

インバウンド業務は、次の4つの対応に分かれ、どれも顧客が先に用件を決めて電話してくる点が共通しています。
- 問い合わせに答える
- 注文を受け付ける
- 解約を受け付ける
- クレームに対応する
用件によって、オペレーターに求められる対応は変わります。詳しく見てみましょう。
問い合わせに答える
問い合わせ対応は、インバウンド業務の中でも件数が多くなりやすい仕事です。料金や在庫、営業時間といった質問のほか、使い方や不具合の相談に答えるテクニカルサポートもここに含まれます。回答がオペレーターごとにばらつくかどうかは、本人の知識量より、回答の根拠になるFAQや資料がどこまで整っているかで変わります。
注文を受け付ける
注文の受付は、通販の注文やサービスの申し込み、予約のように、聞き取る項目があらかじめ決まっている業務です。品質を左右するのは、入力漏れと聞き間違いを防ぐ確認の手順になります。氏名の漢字や住所、電話番号は、受け付けた直後に復唱して確かめましょう。受付の流れに関連商品の案内を組み込み、売上につなげている窓口もあります。
解約を受け付ける
解約の電話は、手続きの案内だけで終えるか、引き止めの提案をするかで、オペレーターに求める対応が変わります。引き止めを行う窓口でも、顧客が解約の意思をはっきり伝えた後に提案を重ねると、苦情につながりかねません。定期購入などの通信販売では、解約を妨げる目的で事実と異なる説明をすることが特定商取引法で禁じられています。
クレームに対応する
クレームの電話を最初に受けたオペレーターは、何が起きたかと顧客の要望を聞き取ることに徹します。返金や補償のように、その場で約束できない内容は、権限を持つスーパーバイザー(現場の責任者)に引き継ぎましょう。引き継ぎの基準が決まっていない窓口では、オペレーターが一人で抱え込み、通話が長引いていきます。
インバウンドを支えるシステムの種類

インバウンドの受電を支えるシステムは5つあり、電話を振り分けるPBXと、電話とパソコンをつなぐCTIを土台に、IVR・CRM・FAQシステムを足して窓口を組み立てます。5つの役割と、入れていない窓口で起こることを並べました。
システム | 役割 | 入れていない窓口で起こること |
PBX(構内交換機) | 外線を受け、空いているオペレーターに電話を振り分ける | 特定の席に電話が集中し、待ち時間が延びる |
CTI | 電話とパソコンを連携し、着信と同時に顧客情報を画面に出す | 名前や契約内容を毎回聞き直すことになる |
IVR(自動音声応答) | 音声の案内で、用件ごとに担当の窓口へ振り分ける | 用件に合わない担当者につながり、転送が増える |
CRM(顧客管理システム) | 過去の問い合わせ履歴や契約情報を記録して共有する | 担当者が変わるたびに、顧客が同じ説明を繰り返す |
FAQシステム | 回答の根拠を、オペレーターが検索できる形でまとめる | 同じ質問への回答が人によって変わる |
いまはクラウド型のPBXやCTIが広く使われ、自社に機器を置かずにオペレーターの席数を増やしたり減らしたりできます。小規模な窓口なら、5つを一度にそろえる必要はありません。PBXとCTIから始め、問い合わせの件数が増えた段階でIVRやFAQシステムを足す順序もあります。
対応品質を高めるために受電前にできること

インバウンドの品質は、オペレーターの話し方だけでなく、電話が鳴る前に用意した回答の資料、運営を評価する指標、引き継ぎのルールに大きく左右されます。準備は、スクリプト・指標・研修・オペレーターの負担軽減の4つの面から進めるのが基本です。
スクリプトは想定外の質問から作る
トークスクリプト(応対の台本)は、よくある質問の回答から書き始める窓口が少なくありません。ところが、通話が長引くのはスクリプトにない質問を受けたときです。「答えられない質問が来たら、何と伝え、誰に、どの手段でつなぐか」を先に決めておけば、新人でも答えに詰まって黙り込まずに、次の対応へつなげられます。
運用を始めた後は、引き継ぎに回った質問を週ごとに集め、FAQに回答を書き足していきます。FAQに答えが増えるほど引き継ぎの件数は減り、ベテランへの負担の偏りも小さくなるはずです。
運営を4つの指標に切り分ける
インバウンドの運営は、応答率と一次解決率を軸に、平均処理時間とサービスレベルを加えた4つの指標で見ます。
指標 | 意味 | 数値が悪いときに考えられる原因 |
応答率 | かかってきた電話のうち、オペレーターが出られた割合 | 時間帯ごとの人員不足、通話や後処理の長さ |
一次解決率 | 最初の電話で用件が解決した割合 | FAQの不足、オペレーターがその場で判断できる範囲が狭い |
平均処理時間 | 1件の通話・保留・後処理にかかる時間の平均 | 聞き取る項目や順番が決まっていない、画面の切り替えなどシステムの操作が多い |
サービスレベル | 決めた秒数以内に応答できた電話の割合 | 曜日や時間帯ごとの電話の件数の見込み違い |
応答率が低く一次解決率が高い窓口は、回答の内容よりも先に、時間帯ごとのオペレーターの人数を見直すとよいでしょう。反対に、応答率は高いのに一次解決率が低ければ、人を増やしても同じ用件での掛け直しが増えかねません。
研修では引き継ぎ方を教える
商品知識を一通り覚えてから電話に出す研修では、現場に出るまでの期間が延びます。しかも覚えた知識は、スクリプトにない質問の前では役に立ちません。先に教えたいのは、自分で答えてよい範囲と、範囲を超えたときの保留・転送・折り返しの使い分けです。
ロールプレイでは、クレームや答えられない質問をあえて混ぜ、保留の伝え方まで練習しておきましょう。練習で一度でも「答えられない場面」を経験しておくと、初めての通話で言葉に詰まる新人は減っていきます。
オペレーターの負担を減らす工夫をする
オペレーターが負担に感じる理由は主に4つあり、どれも本人の我慢ではなく運営側のルールや人員の配置で軽くできます。
負担に感じる理由 | 運営側で減らす方法 |
強い口調のクレームを一人で受け止める | 引き継ぎの基準を決め、スーパーバイザーがすぐ代われる体制にする |
電話が途切れず、休む間合いを自分で作れない | 時間帯ごとの電話の件数に合わせて人数を決め、休憩を順番に回す |
通話後の記録や手配が終わる前に次の電話が来る | 通話後の作業時間を見込んで人数を決め、1件ごとに作業の時間を確保する |
個人の成果が、売上のような分かりやすい数字に表れにくい | 一次解決率や顧客からの評価を本人に伝える |
とりわけ見落とされがちなのが、後処理(通話後の記録や手配)の時間です。応答率を上げようとして後処理の時間を削ると、記録の漏れが増え、同じ顧客からの掛け直しが増えていきます。
オペレーターの負担を放置すると離職が続き、採用と研修をやり直すたびに新人の比率が上がっていくでしょう。新人は1件の処理に時間がかかるうえ引き継ぎも増えるため、新人が多い時期は応答率も一次解決率も下がりやすくなります。負担を減らすことは、2つの指標を保つことにもつながります。
外国語の問い合わせの受電体制を整えるポイント

外国語の問い合わせは、届いてから話せる人を探すのではなく、言語・時間帯・窓口の種類ごとに受ける体制を先に決めておくことで、保留中に電話が切れる事態を防げます。ホテルや交通機関、自治体、通販、医療機関の窓口には、訪日客や在留外国人からの問い合わせが届くようになりました。
3つの体制から選ぶ
外国語の問い合わせを受ける体制は3つあり、件数・言語の数・届く時間帯によって向いている形が変わります。
体制 | 向いている窓口 | 注意点 |
外国語を話せるオペレーターを配置する | 特定の言語の問い合わせが、毎日まとまって届く | 対応できる言語と時間帯が、配置した人のシフトに限られる |
電話通訳を三者間通話で呼び出す | 多くの言語の電話が、少しずつかかってくる | 通訳につなぐ操作の手順を、全員が覚えておく必要がある |
多言語の窓口ごと外部に委託する | 外国語の問い合わせが多い、または夜間や休日にも届く | 日本語の窓口と回答の内容をそろえる仕組みが要る |
三者間通話とは、オペレーター・顧客・通訳者の3人が同時に話す通話の形です。通訳を呼び出す手順をスクリプトに書いておけば、外国語を話せないオペレーターでも、受けた電話をそのまま通訳につなげられます。ポリグロットリンクの「電話de通訳」は、この三者間通話の形で外国語オペレーターが通話に加わるサービスで、最大25言語に対応しているのが特徴です。英語や中国語、韓国語など問い合わせの多い言語で「通訳につなぐので少しお待ちください」と伝える定型文も用意しておくと、待たされた顧客が状況を分からないまま電話を切ることを防げます。
訪日客は旅先から連絡してくるため、問い合わせが日本語窓口の営業時間外に届くことも珍しくないはずです。夜間や休日を自社の人員で埋めるのが難しい窓口では、日中は自社で受け、時間外だけを外部の窓口に回す分け方もあります。多言語コールセンターの詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】多言語対応のコールセンターとは?|運営方法や注意点も解説
電話以外の窓口もそろえる
外国語の問い合わせは、電話だけでなくメールやチャット、SNSのメッセージでも届きます。電話だけを多言語にしてメールの返信が日本語のままだと、顧客は同じ用件を電話で掛け直してくるはずです。
窓口ごとに担当を分けると、同じ顧客の問い合わせ履歴が電話とメールで別々に残ります。外国語の問い合わせもCRMにまとめて記録し、どの窓口から届いても前回のやり取りを見られるようにしておきましょう。
チャットで届く外国語の問い合わせは、多言語AIチャットボットに一次対応を任せる方法もあります。ポリグロットリンクの「AIポリチャ」のようなチャットボットに、よくある質問への回答を任せておけば、オペレーターは電話や個別の相談に時間を割けるはずです。電話・メール・チャット・SNSの窓口をまとめて外部に任せたい場合は、ポリグロットリンクの「多言語コンタクトセンター」が運営代行を引き受けています。
FAQを多言語にそろえる
外国語の窓口を設けるなら、FAQを先に多言語にそろえておきます。日本語の窓口と同じ根拠で答えられるようにしておけば、料金や手続きが変わったときに、外国語の窓口だけ古い案内を続けることを防げます。
FAQには、日本語の回答をそのまま訳すだけでは伝わらない項目もあります。たとえば支払い方法を「コンビニで払込票を使う」とだけ書くと、日本のコンビニ払いを使ったことのない人は、店のどこで何をすればよいか分かりません。
外国語の問い合わせ窓口は、FAQの設計から運営までを外部に任せる方法もあります。ポリグロットリンクの多言語コンタクトセンターでは、電話・メール・チャット・SNSで届く外国語の問い合わせを一括で引き受けています。相談の前に、外国語の問い合わせが月に何件、どの言語で、どの時間帯に届いているかをそろえておくと、どこまでを自社で受け、どこからを任せるかを具体的に決めやすくなります。
コールセンターのインバウンド対応の委託は電話の増え方で決める

インバウンド業務を外部に委託するかどうかは、電話の件数が月や時間帯によってどれだけ増えたり減ったりするかが判断材料です。自社だけで受ける場合、電話が多い時期に合わせて人を雇えば少ない時期に人が余り、平均に合わせれば多い時期に電話を取り切れないからです。件数が時期によって大きく増減する窓口ほど、委託が向いているといえるでしょう。
委託しても、返金の可否のような最終判断は自社に残ったままです。委託先から引き継ぎを受ける社内の担当者と連絡の手段を、契約前に決めておくことが欠かせません。
コールセンターのインバウンドに関するよくある質問

外国語の問い合わせへの備えと、受電と発信の兼務について、運営担当者から寄せられやすい疑問に答えます。
件数が少なくても多言語対応は必要ですか?
必要です。外国語の問い合わせが月に数件の窓口ほど、受けた担当者が対応に迷い、保留のまま電話が切れやすくなります。件数が少ないうちは通訳につなぐ手順だけをスクリプトに加え、件数が増えた段階で外国語の窓口を設ける順序が現実的です。
外国語窓口を委託しても回答はそろいますか?
そろえられます。条件は、日本語の窓口で使っているFAQや回答の基準を委託先と共有し、更新のたびに外国語版にも反映する取り決めを結んでおくことです。取り決めがないまま委託すると、案内の内容が窓口ごとにずれていきます。
受電と発信を兼務することはありますか?
あります。受電の少ない時間帯に、折り返しの電話や申し込み後の確認の電話をかける窓口は珍しくありません。兼務する場合は、発信と受電で評価の指標が異なるため、どちらの数字で評価するかを事前に決めておく必要があります。
インバウンドの品質は受電前の準備で決まる
コールセンターのインバウンドは顧客からの電話を受ける業務で、電話の向きが逆のアウトバウンドとは、目的も成果の測り方も異なります。窓口の品質を分けるのは、答えられない質問への備えや指標の見方、引き継ぎのルールといった、電話が鳴る前の準備です。外国語の問い合わせも、言語・時間帯・窓口の種類ごとに受け方を決めておけば、日本語の窓口に近い品質で受けられます。
ポリグロットリンクは、16国籍のスタッフが在籍する自社運営の多言語コールセンター(東京・ブラジル)を基盤に、16言語に対応する映像通訳の「テレビde通訳」、通話に外国語オペレーターが加わる最大25言語対応の「電話de通訳」、多言語AIチャットボットの「AIポリチャ」、電話やメール、チャット、SNSまで含む「多言語コンタクトセンター」の運営代行を提供しています。
多言語Webサイトの制作や翻訳、外国人カウンターの開設と運営まで一貫して任せられるため、どこから手をつけるべきか整理する段階からでも相談が可能です。受け入れ体制の多言語化を具体的に進めたい場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
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