多言語対応するには?インバウンドに強くなるためのコツを解説
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インバウンドの回復と外国人材の増加を受けて、多くの事業者が本格的な多言語対応を迫られています。とはいえ、多言語対応と一口にいっても、何をどこまで整えればよいのか、費用はどれくらいかかるのか、判断に迷う場面は少なくないでしょう。
そもそも多言語対応とは、Webサイトを翻訳することだけを指すわけではありません。店頭の案内表示、メニュー、電話やチャットでの問い合わせ対応まで、外国人が言葉の壁を感じるあらゆる接点が対象になります。どの領域に手をつけ、どの方法を選ぶべきかを見極められるかどうかが、成果を大きく左右します。
本記事では、多言語対応が求められる背景から対応すべき対象と使える方法、進めるうえでのメリットと注意点を解説します。自社にとって無理のない第一歩を描くための判断材料として、役立てていただければ幸いです。
多言語対応が求められる背景

なぜ今、これほど多言語対応が話題になっているのでしょうか。その理由は、日本を取り巻く人の動きが大きく変わってきたことにあります。まずは背景を、数字とともに押さえておきましょう。
グローバル化の必要性の向上
経済や人の往来がグローバル化するなかで、国内市場だけを前提にしたサービス設計では、成長の機会を逃しやすくなりました。取引先や利用者に外国人が含まれることは、もはや特別な状況ではありません。たとえば、越境ECで海外の顧客に商品を届けたり、外国人材を採用して人手不足を補ったりする場面では、多言語での情報提供が前提になります。
そこで、情報発信やサポートを最初から多言語で整えておく姿勢が、これからの標準になりつつあります。日本語だけの窓口では届かなかった層にも、自社の価値を伝えられるようになります。その差が、事業の広がりを分けていくでしょう。
インバウンド需要の増加
訪日客の伸びは、統計にはっきりと表れています。日本政府観光局(JNTO)によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4268万人に達し、初めて4000万人を超えました。前年比15.8パーセント増という、記録的な勢いです。
また、旅行消費額も約9.5兆円規模に達し、観光や小売、飲食を中心に、外国人客への接客や案内の重要性がいっそう高まりました。言葉が通じる店とそうでない店とで、選ばれ方に差が生まれるのは自然な流れといえるでしょう。
在留外国人・外国人労働者の増加
日本で暮らす外国人も増え続けています。出入国在留管理庁によると、2025年末の在留外国人数は412万人を超え、初めて400万人台に達しました。前年末からの伸びは9.5パーセントに達しました。
生活者として暮らす外国人には、行政手続きや医療、契約といった生活の根幹で、正確かつ継続的な多言語対応が求められます。旅行者向けの一時的な案内とは異なり、腰を据えた対応体制が必要になる点が特徴です。相手の暮らしに関わるぶん、正確さの重みも増します。
多言語対応が必要なものの例

自社のどこから着手すべきかは、外国人との接点を洗い出すと見えてきます。Webサイトや掲示物、案内表示など、多言語化すべき対象を具体的に確認していきましょう。
ホームページ(Webサイト)・SNS
外国人が最初に企業や施設と出会う入り口が、WebサイトやSNSです。サービス内容や料金、アクセス情報を多言語で読める状態にしておけば、来店前の検討段階での離脱を防げるでしょう。
とりわけ予約や申し込みのフォームは、入力途中で言語の壁にぶつかると、そのまま離脱に直結する重要地点です。項目名やエラー表示まで訳しておくことが、成約率を左右します。サイト全体をどう多言語化するかは、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
【関連記事】多言語サイトの制作事例と対応方法|成功のポイントや注意点も解説
メニュー表・料金表
飲食店や物販店では、注文や会計の判断に直結するメニューと料金の多言語化が、満足度を大きく左右します。読めないメニューを前に注文をためらう外国人客は、決して珍しくありません。
すべての言語を細かく訳さなくても、写真やアイコンの併用、QRコードから多言語メニューへ誘導する仕組み、指差しで注文できるシートなどを使えば、要点は十分に伝わります。主要な品目や価格帯から優先して整えると、限られた手間で効果を出しやすくなります。
観光などの案内板
駅や観光地、施設内の案内表示は、訪日客が迷わず移動し、利用するための基礎情報になります。方向案内やトイレ、注意書きといった表示ほど、言葉が通じないと不安を生みやすい部分です。
観光庁も地域の案内表示の多言語化を後押ししており、整備は政策面でも重視されてきました。情報を詰め込みすぎず、外国人がつまずきやすい箇所に絞ると、かえって伝わりやすくなります。
多言語対応に使える方法

多言語対応の手段は、大きく分けて3つあります。
- 通訳スタッフ・電話での通訳
- 翻訳機やアプリ、翻訳ロボット
- 掲示物・Webサイトの多言語版作成
接点の性質に応じて組み合わせるのが基本になります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
通訳スタッフ・電話での通訳
その場のやりとりが必要な接客や緊急対応では、人による通訳が誤解を防ぎ、正確な意思疎通を実現します。あらかじめ用意した翻訳では対応できない、生きた会話が求められる場面に強い方法です。
自社で多言語スタッフを採用するのが難しい場合は、電話やビデオ通話による通訳サービスが有効な選択肢になります。ポリグロットリンクの「テレビde通訳」は業界最多クラスの16言語に対応し、在留・訪日外国人の言語ニーズの約97パーセントをカバーしています。「電話de通訳」なら、外国人からの電話にオペレーターが加わる3地点3者通訳にも対応できます。採用や教育の負担を負わずに、多言語対応を即日整えられるのが強みです。
翻訳機やアプリ、翻訳ロボット
定型的で短いやりとりであれば、翻訳機や翻訳アプリが手軽で、導入コストも抑えられます。簡単な道案内や注文のやりとりなど、用途を絞れば十分に力を発揮します。
一方で機械翻訳は、精度が上がったとはいえ、固有名詞やサービス独自の用語では誤訳が残りがちです。そのまま使うと意味が通らないこともあるため、重要な場面では人による確認の工程を挟むことが欠かせません。
掲示物・Webサイトの多言語版作成
案内表示やパンフレット、Webサイトをあらかじめ多言語化しておけば、繰り返し使えて日々の対応負荷が下がります。何度も同じ説明を求められる情報ほど、多言語版を用意する効果は大きいでしょう。
ただし、翻訳して終わりではありません。料金改定やキャンペーン、規約変更のたびに各言語を更新し続ける運用が欠かせないのです。日本語ページだけ新しく、外国語ページは古いまま放置されがちですが、そうした状態は信頼を静かに損ないます。
多言語対応するメリット

多言語対応には、コストや手間に見合うリターンが複数あります。具体的には次の3つです。
- インバウンドを取り込んで売上増加につながる
- 外国人従業員の満足度が向上する
- 企業ブランディングにつながる
得られる効果を具体的に見ていきましょう。
インバウンドを取り込んで売上増加につながる
言葉が通じないという理由だけで、来店や購入、予約を諦める外国人は少なくありません。多言語で情報を届け、問い合わせにも応じられる体制が整えば、これまで取りこぼしていた層を顧客へと変えられます。
在留外国人412万人、訪日客4268万人という市場規模を踏まえれば、対応の有無が積み上げる売上差は決して小さくないはずです。放置するほど、対応を進めた競合との開きは広がっていきます。
外国人従業員の満足度が向上する
多言語対応は、顧客だけでなく従業員にも効果を及ぼします。社内の案内や業務マニュアルを多言語化すれば、外国人従業員の理解度が高まり、ミスや行き違いも減らせるでしょう。
言語面の不安が和らげば、働きやすさが増し、定着率の向上にもつながります。人手不足が続くなか、外国人材が長く力を発揮できる環境づくりは、採用面でも大きな強みです。守りと攻めの両面で効いてきます。
企業ブランディングにつながる
多言語で丁寧に対応する姿勢は、多文化共生に前向きな企業という好印象を生みます。国籍を問わず誰もが利用しやすい店やサービスは、それ自体が他社との違いを示す価値になるでしょう。
母国語で対応された体験は、強い満足として記憶に残り、口コミやSNSでの発信にもつながります。選ばれ続ける理由をひとつ増やすという意味でも、多言語対応は投資に値するといえます。
多言語対応するデメリット

一方で、多言語対応には注意すべき点もあります。
- 初期投資や運用コストが発生する
- 直訳するとトラブルや修正が発生する場合がある
- 多言語対応できる体制が求められる
ただし、内容や計画次第で、いずれも大きな痛手にはなりにくいものです。あらかじめ知っておけば十分に備えられる課題として、確認しておきましょう。
初期投資や運用コストが発生する
翻訳や機器導入の初期費用に加えて、更新やオペレーションといった運用コストが継続的に発生します。多言語対応を一度きりの出費と捉えていると、後から想定外の負担に感じられるかもしれません。
対策は、対象を全方位に広げないことです。効果の高い接点と言語に絞れば、投資対効果を保ちやすくなるでしょう。利用実態に照らして優先順位をつける姿勢が、コストを賢く抑える鍵になります。
直訳するとトラブルや修正が発生する場合がある
機械翻訳による直訳は、意味の取り違えや、意図せず失礼にあたる表現を生みかねない点に注意が必要です。公開後に誤りが見つかれば、修正コストがかさむうえ、クレームやブランド毀損にもつながりかねません。
これを避けるには、ネイティブによる確認や、文化や規制の違いを踏まえたローカライズが有効です。単に言葉を置き換えるのではなく、相手にとって自然で正確な表現に仕上げる工程を組み込みましょう。
多言語対応できる体制が求められる
見落とされやすいのが、訳すだけでは終わらないという点です。問い合わせに相手の言語で応じ続ける人員や仕組みがなければ、多言語化した情報も十分に活きません。
とはいえ、この体制をすべて自社で抱える必要はないでしょう。採用が難しければ、通訳サービスや多言語コンタクトセンターの外注で補えます。自社の強みに集中しながら、対応レイヤーだけを専門事業者に任せる進め方も現実的です。
多言語対応を成功させるためのポイント

多言語対応を成果につなげるには、思いつきで進めるのではなく、一連の運用として設計することが大切です。具体的な成功のポイントは以下のとおりです。
- 過去のデータを洗い出して言語ニーズを把握する
- 対応言語と対応するコンテンツの優先順位を立てる
- 段階的に導入してPDCAを回す
- スタッフの教育や多言語ツールの研修を行う
- 導入後の定期的な点検・改善を行う
押さえておきたい要点を順に紹介します。
過去のデータを洗い出して言語ニーズを把握する
まず取り組むべきは、自社に実際にどの言語のニーズがあるかの把握です。来店記録や問い合わせ、受電の履歴などから、どの国籍や言語の利用者が多いかを洗い出しましょう。
一つの目安として、在留外国人の言語ニーズは主要な十数言語で大半をカバーできるとされています。感覚ではなく実データに基づいて対象を絞ることが、無駄のない多言語対応を可能にするポイントです。
対応言語と対応するコンテンツの優先順位を立てる
すべてを一度に多言語化しようとすると、コストも手間も膨らみます。利用頻度や重要度の高い接点と言語から着手し、段階的に広げていく計画を立てましょう。
とりわけ、緊急性が高い情報や、誤解が許されない手続き関連は優先度を上げるべき部分です。限られた予算を効果の高い場所へ集中させることで、早い段階から手応えを得やすくなります。
段階的に導入してPDCAを回す
多言語対応は、小さく始めて効果を測り、改善しながら対象範囲を広げるほうが無理なく定着します。最初から完璧を目指すより、動かしながら磨いていく発想が向いています。
通訳内容のサマリーや問い合わせの傾向を、よくある質問の整備や接客改善にフィードバックするのも有効です。現場から上がってくる声を、次の一手に活かす循環をつくりましょう。
スタッフの教育や多言語ツールの研修を行う
どれほど優れたツールを導入しても、現場が使いこなせなければ効果は出ません。操作方法の研修や、外国人対応を想定した接客マニュアルの整備をあわせて進めておくと安心です。
加えて、文化や習慣の違いへの理解を深める教育も欠かせません。相手の背景を知ることで、スタッフの苦手意識がやわらぎ、自信を持って接客できるようになります。
導入後の定期的な点検・改善を行う
多言語対応は、導入したら終わりというものではありません。翻訳内容や表示に古びがないかを定期的に点検し、料金改定や規約変更に合わせて更新していく必要があります。
利用状況をもとに、対応言語や運用体制を見直すことも大切です。使われていない言語を整理し、ニーズの高まった言語を足すなど、実態に合わせて過不足を調整していきましょう。
多言語対応の成功事例

ここからは、実際に多言語対応で成果を上げた事例を三つ紹介します。それぞれ異なる分野で、多言語対応が課題解決と顧客満足にどうつながったのかを見ていきましょう。なお、いずれもポリグロットリンクの導入事例です。
岡山県倉敷市
岡山県倉敷市では、増加する外国人住民の受け入れ環境を整えるため、市役所内に「外国人相談窓口」を新設し、ポリグロットリンクがその運営を受託しました(2020年10月開始)。倉敷市を含む高梁川流域の7市3町が連携する、全国初の広域連携型の総合相談窓口という点が大きな特徴です。
英語・中国語・ベトナム語は窓口にて相談員が対応し、その他言語はタブレット端末やテレビ通訳、電話通訳を活用するなどして16言語に対応しています。、これにより、多言語での在留手続きや雇用、医療、福祉、子育て、教育など、生活全般にわたる相談が可能になりました。対象となる地域の外国人は約1万2000人にのぼり、言葉の不安なく暮らせる地域づくりを支えてきました。
あわせて、外国人住民に向けた生活情報を発信するSNSの運用も担っています。行政からのお知らせや暮らしに役立つ情報を母国語で届けることで、必要な情報が届きにくい層への橋渡し役を果たしています。
株式会社BARE NOTE STUDIO
宿泊施設のプロデュースを手がける株式会社BARE NOTE STUDIOでは、新規ホテルの開業が続くなかで、ゲスト満足度のさらなる向上と、夜間の緊急対応体制の強化が急務になっていました。多様化するゲストのニーズに応えるため、24時間体制で多言語対応できる仕組みを求めていたといいます。
導入の決め手となったのは、24時間365日の対応が可能で、多言語でスムーズなコミュニケーションができる点でした。海外からのゲストが多い同社にとって、いつでも、どの言語でも安心して対応できる体制が整ったことの価値は大きかったといえるでしょう。
現在は主に、宿泊予定や予約済みのゲストからの問い合わせ対応に活用されています。メッセージや電話など、多言語でのやりとりが求められる場面で、日々の運営を支える存在になりました。
株式会社BARE NOTE STUDIOへの導入事例の詳細はこちら
株式会社大丸松坂屋百貨店
老舗百貨店グループの株式会社大丸松坂屋百貨店では、コロナ禍を経て社員のインバウンド対応力が低下し、それまで利用していた通訳アプリのサービスも終了したことから、新たな対応手段が必要になっていました。免税手続きや外国人接客への苦手意識も、課題のひとつだったといいます。
全従業員と店舗へ社給スマートフォンを配布する流れに合わせ、複数のベンダーを比較検討しました。翻訳の正確さやスピード、アフターフォローやトラブル対応の迅速さといった総合的なサービス品質を評価し、「テレビde通訳」の導入を決めています。
現在は商品説明や提案、免税手続きなどの場面で広く活用され、全国全10店舗の店頭に定着しつつあります。言語の壁を越えた丁寧な接客を通じて、顧客満足度と購買単価の向上をねらう取り組みです。
多言語対応は優先順位を付けて計画的に
多言語対応は、Webサイトや掲示物を訳して終わりではありません。その先で、相手の言語に応じ続ける運用まで含めてはじめて成り立つ取り組みです。在留外国人と訪日客がともに過去最高を更新し続ける今、対応の有無は機会損失やリピート率に直結する経営課題になりました。
進め方の要点は、自社の接点を洗い出して言語ニーズを把握し、優先順位をつけて段階的に導入し、教育と点検まで含めて運用として設計することにあります。Webサイト・掲示物・案内表示・問い合わせ窓口など、接点ごとに最適な手段を組み合わせれば、コストを抑えつつ機会損失も防げます。
自社だけで全体を設計するのが難しいと感じたら、翻訳や通訳から問い合わせ窓口の運営まで、ワンストップで任せられる専門事業者の力を借りるのも有効な選択です。
ポリグロットリンクは、業界最多クラスの最大25言語の通訳や24時間365日の多言語コンタクトセンター運営に対応し、自治体から民間まで幅広い実績を持っています。何から始めるべきか迷う段階からでも相談できますので、多言語対応の進め方に悩んだら、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
■株式会社ポリグロットリンク