コールセンターの課題は原因から解く|主な8つの問題と改善の進め方
目次
「オペレーターを増やせば、電話はつながるようになるはず」。応答率が下がると、会議で真っ先に話題に上るのが人員の数です。そのため、課題の答えを採用に求める担当者は多いでしょう。
しかし、人を増やしても待ち時間が縮まらない窓口は珍しくありません。「つながらない」「辞めていく」は目に見える症状にすぎません。症状だけを見て打つ手を選ぶと、費用をかけても問題が残りかねません。
本記事では、コールセンターが抱える主な8つの課題から、解決の方法、改善の手順、外国語の問い合わせが増えたときの受け方を解説します。
コールセンターの主な8つの課題

コールセンターが抱える主な課題は、人材・運用・顧客接点の3つの領域にまたがる8つです。どの課題も単独では起きず、ひとつの課題が別の課題を呼び込む形で連なっています。具体的には次のとおりです。
領域 | 課題 | 現場で見える症状 |
人材 | 人手不足 | 欠員が埋まらず、新人の割合が高いまま |
人材 | 応対品質のばらつき | 担当者によって回答が変わる |
運用 | 電話のつながりにくさ | 顧客が待ちきれずに切る電話が増える |
運用 | 繁閑差への対応 | 時期によって人が余る、または足りない |
運用 | 在宅勤務の導入 | 出社できる人しか採用できない |
運用 | 他部署との連携 | 同じ不具合への問い合わせが繰り返し届く |
顧客接点 | 窓口の多様化 | 電話とメールの履歴がつながらない |
顧客接点 | 外国語の問い合わせ | 折り返しの約束で済ませてしまう |
詳しく見てみましょう。
人手が足りない
業界団体の調査でも深刻な課題とされているのが、オペレーターの人手不足と離職の多さです。働き手そのものが減っているうえ、カスタマーハラスメント(顧客からの過度な要求や暴言)を受ける負担や、覚える商品知識の多さが応募をためらわせます。入社しても、独り立ちする前に辞めてしまう人が出やすい職場です。
欠員を埋める採用が続くと、スーパーバイザー(オペレーターを指導・管理する責任者)の時間が研修に取られます。現場の質問に答える人がいなくなり、残ったオペレーターの負担がさらに増える循環に陥りがちです。
応対品質がばらつく
同じ問い合わせでも、オペレーターによって回答の中身や言い回しが変わるのが応対品質のばらつきです。主な原因として、マニュアルが古いまま更新されていないことや、判断の分かれる質問への答えが決まっていないことが挙げられます。経験の長い人ほど自分の判断で答えやすいため、新人との差が開きやすくなります。
顧客から見ると、回答のばらつきは「前に聞いた話と違う」という不信になります。不信を抱いた顧客は確認のためにかけ直すため、再入電や苦情が増える原因にもなっています。
電話がつながりにくい
電話がつながりにくい状態は、顧客が最初に不満を感じやすい課題のひとつです。待ち時間が長いと、顧客は途中で電話を切り、時間を置いてかけ直します。かけ直しの電話がまた回線を埋めるため、混雑はさらに続きます。
見落とされがちなのが、つながらない原因は人員の数だけではないという点です。1件の通話が長引けば、同じ人数でも受けられる件数は減ります。長引く電話の中身を突き止めないまま人を増やしても、待ち時間は思ったほど縮まりません。
繁閑差に人員が合わない
問い合わせの件数は、季節や曜日、キャンペーンの時期によって大きく波打ちます。繁忙期に合わせて人を置けば閑散期に人が余り、閑散期に合わせれば繁忙期に電話があふれます。どちらに寄せても、人件費か応答率のどちらかを犠牲にする構造です。過去の入電件数から需要を予測してシフトを組む仕組みがない窓口ほど、繁閑の差に振り回されています。
在宅勤務を導入しにくい
自社で運営する中小規模のセンターで在宅勤務が進みにくいのは、顧客の個人情報を自宅で扱う不安と、オペレーターを近くで支えられない不安があるためです。電話の設備が社内の機器に縛られている窓口では、そもそも自宅から受電できません。
業務を受託する大手の会社では在宅での運営が広がっており、設備とルールを整えれば実現できる働き方です。在宅勤務は通勤が難しい人や子育て中の人を採用する手段にもなるため、導入できないこと自体が採用の幅を狭めています。
他部署と連携できない
コールセンターに届いた顧客の声が、商品開発や営業の部署に届かないのも課題のひとつです。センターの中で記録を残していても、他部署が読める形で共有されていなければ、同じ不具合への問い合わせが繰り返し入ります。
逆に、他部署が始めたキャンペーンや仕様変更をセンターが知らされず、オペレーターが答えられない場面も起きます。連携の途切れは、どちらの方向から見ても入電を増やす原因です。
窓口の多様化に追いつかない
顧客が問い合わせに使う手段は、電話だけでなく、メール、チャット、SNSへと広がっています。窓口ごとに担当や記録の仕組みが分かれていると、同じ顧客が電話とメールで同じ質問をしても、ひと続きの履歴として扱えません。手段が増えるほどオペレーターが確かめる画面も増え、1件あたりの対応時間が延びる窓口もあります。
外国語に対応できない
国内で暮らす外国人が増え、訪日客も高い水準が続くなか、日本語以外の問い合わせを受ける窓口が広がっています。外国語を話せるオペレーターは採用が難しく、いても特定の言語、特定の時間帯に限られがちです。
対応できない言語の電話は、折り返しを約束するか日本語での会話を頼むしかなく、顧客の不満が残ります。外国語の電話は件数が少ないため後回しにされやすいものの、現場にかかる負担は件数の割に大きくなりがちです。
コールセンターの課題の切り分け方

コールセンターの課題は、顧客や現場に表れる「症状」と、症状を生んでいる「原因」に分けて捉えると、打つ手を絞り込めます。「つながらない」「辞めていく」は症状で、原因はたいてい入電の量、中身、時間帯の偏りのどこかにあります。
症状 | 考えられる原因 | 確かめる記録 |
電話がつながらない | 人員不足、通話の長期化、特定の時間帯への集中 | 時間帯ごとの入電件数と平均通話時間 |
離職が多い | カスタマーハラスメント、難しい問い合わせの偏り、指導の手薄さ | 辞めた人が多く受けていた問い合わせの種類 |
回答がばらつく | マニュアルの古さ、判断基準の欠け | 再入電が多い問い合わせの種類 |
同じ「つながらない」でも、効く方法は原因ごとに変わります。人員不足なら採用の見直し、通話の長期化ならマニュアルの見直し、時間帯の集中なら自動応答での振り分けが効果を出しやすい方法です。原因を確かめずに方法を選ぶと、費用をかけても症状が残りかねません。
課題の一覧から方法を選ぶのではなく、入電の中身から原因を突き止めるのが改善の近道です。原因を突き止める手がかりは、問い合わせの種類ごとの件数と通話時間にあります。件数が少なくても、1件に時間がかかる問い合わせが、センターの時間を多く使っていることがあります。
コールセンターの外国語対応は負担が大きい

外国語の入電は、件数がわずかでも、1件にかかる時間と人の手間でセンター全体の応答を押し下げます。日本語なら数分で済む用件でも、言葉が通じないと聞き返しや確認が重なり、通話は長引きます。話せる人を探して保留にし、見つからなければ折り返しを約束して、後から別の担当者がかけ直す流れになるのが典型です。
外国語の電話が現場に与える負担は、次の4つの形で表れます。
- 聞き返しや保留が重なり、1件の通話時間が延びる
- 話せるオペレーターに電話が集中し、本人が休むと受けられなくなる
- 折り返しのために、話せる担当者の手が空くのを待つ
- 件数が少ないため、応答率などの指標に負担が表れにくい
とりわけ見落とされがちなのが、外国語を話せる一人に負担が集まり、本人の離職がそのまま「対応できる言語」の喪失になる点です。外国語を話せる社員が辞めると、辞めた社員が受けていた言語の電話は、翌日から折り返しでしか受けられなくなるおそれがあります。
外国語の対応を社内の人材で抱え続けるかどうかは、件数だけでなく、通話時間と特定の人への集中度も合わせて判断するのが現実的です。外国語の電話を記録するときは、件数に加えて、通話時間、保留や折り返しの有無、対応した人の名前を残しておくと、判断の材料がそろうはずです。
コールセンターの課題の4つの解決方法

コールセンターの課題を解決する方法は、回答をそろえる、入電を減らす、人材を確保する、外国語の受け方を変えるの4つに分かれます。
方法 | 主に効く課題 |
マニュアルで回答をそろえる | 応対品質のばらつき、通話の長期化 |
AIで入電を減らす | つながりにくさ、繁閑差、営業時間外の対応 |
人材の確保を見直す | 人手不足、離職、在宅勤務 |
外国語の受け方を変える | 外国語の問い合わせの増加 |
それぞれ詳しく見てみましょう。
マニュアルで回答をそろえる
応対品質のばらつきと通話の長期化には、マニュアルとFAQ(よくある質問と回答の一覧)の見直しが効きます。マニュアルは、作った時点の正解を残すだけでは古くなる一方です。再入電が多い問い合わせや、オペレーターがスーパーバイザーに確かめた質問を集め、答えを決めて書き足す流れを作ると、判断の分かれる場面が減っていきます。
Webサイトに同じFAQを載せれば、顧客が電話をかける前に自分で答えを見つけられます。マニュアルとWebのFAQを別々に作ると内容がずれるため、元になる回答は1つにまとめておくのが現実的です。
AIで入電を減らす
電話がつながらない課題と繁閑差に効くのは、入電そのものを減らしたり振り分けたりするシステムです。音声の自動応答で用件を聞き分ければ、簡単な手続きは人を介さずに済み、オペレーターは込み入った相談に時間を使えます。チャットボット(自動で回答するチャット)は、営業時間外の問い合わせを受け止める手段にもなります。
ただし、AIで減らせるのは答えが決まっている問い合わせです。苦情や事情の込み入った相談は人が受けることになるため、AIを入れた後のセンターでは、オペレーター1人が受ける電話の難しさが上がると見ておく必要があります。
ポリグロットリンクの「AIポリチャ」は、AIによる24時間365日の自動応答と、最大25言語の有人対応を組み合わせた多言語AIチャットボットです。AIで答えられない込み入った問い合わせは有人のオペレーターに引き継げるため、定型の質問はAIに任せながら、外国語の相談にも対応できます。
人材の確保を見直す
人手不足と離職には、採用の間口を広げることと、独り立ちまでの支えを厚くすることの両方が欠かせません。在宅勤務や短時間勤務を選べるようにすれば、これまで応募できなかった人にも声が届きます。在宅勤務を始めるには、クラウド型の電話システムと、自宅で個人情報を扱うときのルールを先に整えることが前提です。
育成では、研修を終えた後の最初の数か月が、辞めるか続けるかの分かれ目になりやすい時期です。難しい電話を新人に回さない振り分けや、すぐに質問できる相手を決めておく仕組みが、定着を左右します。
外国語の受け方を変える
外国語の問い合わせが増えてきたら、話せる社員が受ける形から、電話通訳や外部の多言語窓口につなぐ受け方へ切り替えます。件数が増えるほど、話せる人への集中と折り返しの待ちが膨らむためです。電話通訳を使えば、日本語で応対するオペレーターのまま、通訳者が間に入って外国語の会話をつなげます。切り替えるときは、次の4つを見直します。
- 電話通訳につなぐのを、全件にするか、話せる社員がいない時間帯だけにするかを決める
- 通訳を呼ぶ手順と、話せない言語の電話を受けたときの最初の一言をマニュアルに書く
- 外国語の電話を受ける時間帯を、日本語の窓口とそろえるかを決める
- Webサイトの問い合わせ案内とFAQに、対応言語と受付時間を載せる
電話通訳のつなぎ方は、通話中に3人目を呼び出す三者間通話のほか、通訳サービス側へ転送して通訳者が加わる形など、サービスによって異なります。導入前に、自社の電話機やシステムで使えるつなぎ方かを確かめておきましょう。
ポリグロットリンクでは、外国語の電話が来たときだけ通訳者を呼び出す「電話de通訳」から、外国語の窓口ごと任せられる「多言語コンタクトセンター」まで、受け方に合わせたサービスを提供しています。詳細は以下のページからご覧ください。
コールセンターの課題を改善するための手順

コールセンターの改善は、次の4つの手順で進めましょう。
- 入電を種類ごとに記録する
- 時間を使う問い合わせを特定する
- 着手する順番を決める
- 小さく試して効果を比べる
それぞれの手順を詳しく解説します。
1.入電を種類ごとに記録する
改善の最初の手順は、直近の繁忙期と閑散期から、それぞれ数週間分の入電を問い合わせの種類ごとに記録することです。記録するのは、件数、通話時間、保留や折り返しの有無の3つです。
種類の分け方は、住所の変更、料金の確認、不具合の相談のように、オペレーターが受けた直後に迷わず選べる粒度にします。分け方が細かすぎると記録が漏れ、粗すぎると原因の手がかりになりません。
2.時間を使う問い合わせを特定する
記録がそろったら、問い合わせの種類ごとに件数と平均通話時間を掛け合わせ、センターの時間を最も多く使っている種類を特定します。特定した種類については、通話が長引く理由を、オペレーターへの聞き取りと通話の記録から確かめます。マニュアルにない質問で迷っているのか、確認先の部署を探しているのかによって、効く方法が変わるためです。
3.着手する順番を決める
手を付ける順番は、影響の大きさと着手のしやすさの2つで決めます。影響が大きく、マニュアルの書き足しのように社内ですぐ直せる課題から始めると、効果を早く確かめられます。
システムの入れ替えのように準備に時間がかかる方法は、先に手を付けた改善の結果を見てから判断しても遅くありません。外国語の電話のように件数は少なくても1件の負担が大きい課題は、影響の大きさを件数ではなく通話時間で測ります。
4.小さく試して効果を比べる
選んだ方法は、一部の時間帯や窓口で小さく試し、試す前の数字と比べて効果を確かめます。試す前の数字を残していないと、改善が効いたかどうかを判断できません。見るKPI(目標の達成度を測る指標)は、手を付ける課題に合わせて2つか3つに絞ります。
手を付ける課題 | 見る指標 |
電話がつながりにくい | 応答率、待ちきれずに切られた電話の件数 |
応対品質のばらつき | 再入電の件数 |
通話の長期化 | 平均通話時間 |
指標を応答率だけに絞ると、急いで電話を切る応対が増え、再入電で数字が元に戻ることもあります。
コールセンターの課題に関するよくある質問

コールセンターの課題とその解決法に関するよくある質問3つをまとめました。
AIの登場でコールセンターは今後どう変わりますか?
AIが対応できる定型的な問い合わせは、人が受ける電話から減っていくと考えられます。住所の変更や営業時間の確認のように答えが決まっている用件は、音声の自動応答やチャットボットが引き受けるようになるためです。
その分、人の対応には、顧客の状況を聞き取って確認する力、関係する部署や取引先と調整する力、外国語で相談を受ける力といった、高度な対応が求められます。オペレーターの育成も、決まった答えを覚えることから、込み入った相談を解きほぐす経験を積む場をどう設けるかへ、重心が移っていくと考えられます。
AIで人手不足は解消しますか?
人の数を減らす目的では、解消しきれません。苦情や個別の事情を含む相談はAIだけでは受けきれず、人が受ける体制は残るためです。
効果が大きいのは、AIで生まれた時間の使い方を変える場合です。定型の問い合わせをAIに任せて空いた時間を、これまで手が回らなかった多言語の相談に充てれば、人件費や総対応時間を保ったまま、支援できる顧客の範囲を広げられる可能性があります。AIの導入は、人を減らす手段というより、人が受ける電話を選び直す手段として考えるのが現実的です。
外国語の電話が少なくても対策は必要ですか?
必要です。件数が少ない窓口ほど、話せる人がいない時間帯に外国語の電話が入ると、対応がそこで止まります。外国語を話せる人を常に置くのは費用がかさむため、必要なときだけ通訳を呼べる仕組みを用意しておくと、件数の少なさに合った備えになります。
ポリグロットリンクの電話通訳「電話de通訳」は、外国語の電話を受けたときに通訳者が通話に加わり、会話をつなぐサービスです。詳しくは、電話de通訳のページをご覧ください。
コールセンターの課題は原因から解こう
コールセンターの主な課題は、人手不足、応対品質のばらつき、つながりにくさ、繁閑差、在宅勤務、他部署との連携、窓口の多様化、外国語対応の8つです。ただ、課題の一覧から方法を選ぶと、費用をかけても症状が残ることがあります。入電を種類ごとに記録し、件数と通話時間から原因を突き止めてから方法を選ぶと、改善の順番が決まります。
外国語の電話は件数が少なくても、話せる一人への集中や折り返しの待ちを通じて、窓口全体の負担になりがちです。外国語の受け方を見直すときは、話せる社員の在籍に左右されない受け方として、通訳サービスや多言語窓口の活用を検討します。
ポリグロットリンクは、16国籍のスタッフが在籍する自社運営の多言語コールセンター(東京・ブラジル)を基盤に、ビデオ通訳「テレビde通訳」、電話通訳「電話de通訳」、多言語チャット「AIポリチャ」、多言語コンタクトセンターの運営代行などを提供しています。外国語の問い合わせへの対応にお悩みなら、ぜひお気軽に当社までご相談ください。
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