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  3. インバウンド対策とは?飲食・宿泊・自治体がすべき多言語対応と成功事例を解説
インバウンド 2026.09.02

インバウンド対策とは?飲食・宿泊・自治体がすべき多言語対応と成功事例を解説

インバウンド対応 多言語対応
インバウンドをイメージした模型

目次

    訪日外国人の数は、いまも高い水準で推移しています。ただ2026年に入ってからの統計を細かく追うと、これまでと同じ発想では成果が出にくくなっている兆候が読み取れました。国籍別の消費構成が入れ替わり、7月には出国税が引き上げられ、11月には免税制度そのものが別の仕組みへ移行します。

    インバウンド対策という言葉は、多言語メニューやキャッシュレス決済の導入といった「やることリスト」として語られがちです。しかし現場で成果を分けているのは、施策の数ではなく、どの順番で手をつけたかという判断です。

    本記事では最新の統計と制度改正を踏まえ、飲食・宿泊・小売・自治体それぞれが何から着手すべきかを、導入事例を交えて解説します。

    インバウンド対策とは?

    インバウンドで混んでいる交差点

    インバウンド対策とは、訪日外国人旅行者や在留外国人を自社の顧客や住民として迎え入れ、売上や地域経済、行政サービスにつなげるための取り組み全般を指します。ビジネスの文脈で「インバウンド」といえば、日本を訪れる外国人旅行者そのもの、あるいは訪日旅行によって生まれる需要を意味しました。

    この取り組みは、大きく二つの領域に分かれます。ひとつは来訪前の外国人に自社を認知してもらう集客の領域、もうひとつは来店や来館した外国人客に不便なく過ごしてもらう受け入れの領域です。どちらか一方に偏ると、集客したのに対応できず取りこぼす、あるいは受け入れ体制はあるのに人が来ない、という不均衡が生じます。

    目的の置き方も重要です。「外国人客を増やすこと」を目的にすると施策は集客に偏りますが、「来た客を取りこぼさないこと」と置き換えると優先順位が変わってきました。注文が通らずに単品で終わった、決済手段が合わずに購入を諦められた、といった損失は日々発生していながら、数字として記録されないためです。このような取りこぼしも含めて、インバウンド対策と言います。

    インバウンド需要が増加傾向にある

    放っておいてもインバウンド観光客が増える局面は終わりつつある一方、需要そのものは高い水準を保っています。まずは数字で現在地を確認しておきます。

    日本政府観光局(JNTO)の推計によれば、2026年1月から3月の累計訪日外客数は1,068万人台で、2年連続で第1四半期に1,000万人を突破しました。ただし前年同期比の伸びは1.4%にとどまり、5月は前年同月比でマイナスに転じるなど、伸びは緩やかになっています。

    より大きな変化は消費額の内訳です。2026年1月~3月期の旅行消費額2兆3,378億円のうち、台湾が3,884億円で初めて首位に立った一方、中国は前年同期の5,478億円からおよそ半減しています。訪日中国人旅行者数そのものが前年同期比で約半減しており、単価ではなく客数の減少が主因でした。代わりにベトナムや英国、ドイツが前年同期比40%超で伸びました。特定の市場を主要顧客と想定して店舗設計や在庫計画を組んでいた事業者は、わずか1年で前提が崩れる経験をしたことになります。

    インバウンド対策が特に必要とされている業種

    インバウンドを迎え入れている小売店

    インバウンド消費を費目で見ると、宿泊費と飲食費で全体の6割近くを占めています。つまり売上の大半は対面接客の場で生まれており、そこに接点を持つ業種ほど、対策の効果が表れやすいと言えるでしょう。特に影響が大きいのは、以下の業種です。

    • 飲食業
    • 宿泊業・ホテル業
    • 小売業
    • 自治体

    具体的にどのような対策が求められるのかを解説します。

    飲食業

    観光庁の調査で、旅行中のコミュニケーションに困った場所として最も名前が挙がる業種です。着手の効果が最も見えやすい領域と言えます。

    「施設等のスタッフとのコミュニケーション」で困った場所として、飲食店は38%と最多に挙げられました。とりわけアレルギーや宗教上の食事制限は、誤って伝わると健康被害に直結するため、写真と食材表記で事前に確認できる状態を整えておく必要があります。おすすめの説明が伝わらず単品で終わる取りこぼしは、損失として可視化されません。そのため、対策の効果も過小評価されやすい点に注意が必要です。

    宿泊業・ホテル業

    滞在時間が長く、チェックインからトラブル対応まで会話の発生密度が高い業種です。24時間を見据えた対応設計が問われます。

    集客の起点になるのは、海外OTAへの掲載と、その情報精度の維持です。加えて、宿泊規約やキャンセル条件の説明を誤ると、金銭トラブルや低評価の口コミに直結します。深夜の設備トラブルなど即応が必要な会話も多いため、24時間対応が必要な言語と日中のみで足りる言語を分けて設計すると、品質を保ちながらコストを抑えられます。

    小売業

    2026年11月の免税制度改正を最も強く受ける業種です。店頭オペレーションの見直しが最優先課題になりました。

    免税は購入時免除からリファンド方式へ移行し、店頭では税込で販売したうえで、出国時の税関確認を経て消費税相当額を返金する流れに変わります。「その場で安く買える」という認識で来店した旅行者に、返金の条件と手続きを正確に説明する負荷が新たに生じました。

    決済面でも、中国系モバイル決済への偏りを見直し、欧米豪のタッチ決済や東南アジアのQRコード決済への対応を並行して検討したい時期に来ています。

    自治体

    対象は旅行者だけではありません。在留外国人の増加により、行政サービスの窓口でも多言語対応が不可欠になっています。

    在留手続や医療、福祉、子育て、教育など、生活全般にわたる相談が言語を問わず持ち込まれます。誤訳が権利や手続きに影響するため、正確性への要求は民間より高くなりました。職員個人の語学力に依存すると、異動とともに体制が崩れてしまうため、仕組みとして多言語対応を担保する発想が求められます。

    具体的なインバウンド対策

    対策と書かれた紙

    対策は、設備を整えるハード面と、集客・体験・言語を組み合わせるソフト面をセットで設計する必要があります。消費費目の6割近くが宿泊・飲食という対面接客の場で発生する事実が、施策を考えるうえでのポイントになるでしょう。柱になるのは、以下の4点です。

    • デジタルマーケティングの強化
    • DXの推進による環境整備
    • 体験コンテンツの策定・導入
    • 多言語対応の強化

    それぞれ詳しく解説します。

    デジタルマーケティングの強化

    来訪前の意思決定にどう食い込むかが、集客の成否を分けます。訪日客は複数都市を周遊しながら、渡航前も滞在中も情報を集め続けているためです。

    訪日客には再訪する人が多く、複数の都市を周遊する傾向があります。だからこそ、SNSと多言語Webでの情報発信が来訪前の行き先選びを左右しました。使うプラットフォームは市場ごとに異なり、東アジアはSNSや動画、欧米圏はブログや口コミサイトを参照する傾向があります。自社での多言語運用が重い場合は、日本語投稿に英語のキャプションを併記するところから始めるのが現実的です。

    DXの推進による環境整備

    人手不足のなかで対応品質を保つには、業務の仕組み化が欠かせません。デジタル化は省人化と顧客満足を同時に狙える打ち手です。

    キャッシュレス決済への対応は、決済手段が合わずに購入を諦められる損失を防ぎます。混雑情報のリアルタイム配信で来訪の時間帯を分散させれば、現場の負荷を平準化できるでしょう。また、在庫管理システムで需要変動に対応すれば、機会損失と過剰在庫の双方を抑えられます。予約チャネルを一元管理しておくことも、複数OTAをまたいだオーバーブッキングを未然に防ぐうえで有効です。

    体験コンテンツの策定・導入

    消費単価が高まった今、モノを売るだけでは差がつきません。体験の背景を語れるかどうかが、単価と満足度を左右するようになりました。

    1人あたりの旅行支出が22万1千円に達するなか、消費の重心は「モノ」から「コト」へ移りつつあります。買物代の構成比が前年同期の29.4%から25.2%へ下がる一方、娯楽等サービス費は前年同期比12.2%増と伸びました。素材や技法、歴史といった背景の説明が、そのまま付加価値になります。2030年に延べ1.3億人泊とする政府目標から地方部への宿泊分散を見据えると、地域固有の体験が誘客の鍵になるでしょう。

    多言語対応の強化

    言語対応は「すべてを人でやる」でも「すべてをアプリで済ませる」でもうまくいきません。場面に応じて手段を切り替える三層の設計が有効です。

    まず、表示やメニュー、Webといった定型情報は、翻訳であらかじめ解決しておきましょう。次に、単純な道案内や日常会話は、スマートフォンの翻訳アプリで足ります。そして、契約事項や交渉事項やアレルギー確認、緊急時対応のように、誤ると取り返しがつかない会話は、人の通訳を介して確実に伝える。この三層で切り分けると、限られた人員でも過不足のない体制になります。

    二次対応となる有人通訳は遠隔で呼び出す方式が現実的で、専任人材を置かずに窓口を用意できます。ポリグロットリンクの映像通訳「テレビde通訳」や電話通訳「電話de通訳」は、24時間対応が可能で、災害など非常時の連絡導線も平時のうちに整えられる方式として導入が進んできました。自社で対応が難しい場合は、検討してみる価値があるサービスです。

    多言語対応支援はこちら

    デジタル上のインバウンド対策

    パソコンの前で電話をする外国人

    前章のデジタル施策のうち、来訪前の認知に効く「オンラインの入口」を詳しく見てみましょう。旅行者が日本語を解さない前提で、情報を届ける経路を設計する視点が必要です。その際の主なポイントとして、以下の3点が挙げられます。

    • 多言語対応のWebサイト
    • SNSの多言語化
    • その他アプリの活用

    詳しく解説します。

    多言語対応のWebサイト

    公式サイトは、OTAや口コミ経由で興味を持った旅行者が最後に確認する場所です。ここでの情報の質が、予約の後押しになります。

    機械翻訳をそのまま掲載すると、料金や禁止事項の誤読が損失につながるため、要所はネイティブによる確認を挟みたいところです。OTA経由の予約は手数料負担が大きいため、公式サイトの多言語化を進めてリピーターを自社経由へ誘導する設計も有効でしょう。日本語版だけを更新して外国語版が古いまま残る状態は、かえって信頼を損ないます。

    多言語Webサイトに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

    【関連記事】多言語対応するには?インバウンドに強くなるためのコツを解説

    SNSの多言語化

    検討段階の旅行者に届くのは、検索結果よりもSNSや動画であることが増えました。市場ごとの媒体特性を踏まえた運用が求められます。

    ターゲット市場が使う媒体を見極め、限られたリソースを集中させるのが基本です。写真や短尺動画は言語の壁を越えやすく、テキスト翻訳の負荷も小さく済みます。口コミへの多言語での返信は、対応姿勢を示すシグナルとして旅行者に見られている点も意識しておきたいところです。

    その他アプリの活用

    来訪前から滞在中まで、旅行者の行動を支えるアプリ群も接点になります。自社で開発せずとも、既存サービスへの登録で届く範囲は広がります。

    Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)の整備は無料で完結し、滞在中の「いま入れる店」検索に直接届く経路です。多言語対応の予約アプリや配車アプリと連携すれば、来店までの導線を滑らかにできるでしょう。翻訳アプリは日常会話には有効な一方、条件交渉には不向きという限界を理解したうえで併用するのが賢明です。

    ポリグロットリンク導入によるインバウンド対策の成功事例

    CASEと書かれたブロックとキーボード

    ここからは、多言語対応が課題解決と顧客満足につながった実例を紹介します。自治体・宿泊・小売の三分野で、いずれも遠隔通訳を活用し、専任の外国語人材を抱えずに対応品質を確保した点が共通しています。ビフォーアフターを交えて、詳細を見てみましょう。

    岡山県倉敷市

    行政サービスの多言語化を、単独ではなく広域連携で実現した事例です。

    倉敷市役所本庁舎1階に「外国人相談窓口」を新設し、ポリグロットリンクが運営業務を受託しました(令和2年10月開始)。倉敷市を含む高梁川流域7市3町が連携する、全国初の広域連携型の総合相談窓口です。在留手続きから子育て・教育まで生活全般の相談に多言語で対応するほか、観光情報を発信するSNSの運用も担っています。

    導入事例の詳細はこちら

    APARTMENT HOTEL MIMURA

    緊急時の正確な対応という、宿泊業に特有の課題を遠隔通訳で解決した事例です。

    多国籍の宿泊客を受け入れるアパートメントホテルで、急病やトラブルなど緊急時の正確な対応が課題でした。対応言語の多さやつながりやすさ、固定費を抑えた価格を評価し、「テレビde通訳」を各館に配置しています。第三者の通訳が間に入ることで宿泊規約などの誤解を防げるようになり、母国語で対応される安心感が顧客満足と、スタッフの対応力向上にもつながりました。

    導入事例の詳細はこちら

    株式会社大丸松坂屋百貨店

    コロナ禍で低下した接客対応力を、通訳サービスの刷新で立て直した事例です。

    コロナ禍で社員のインバウンド対応力が低下し、利用していた通訳アプリも終了したため、新たな手段が必要になっていました。社給スマートフォンの導入に合わせ、翻訳の正確さやスピード、アフターフォローを評価して「テレビde通訳」を導入しています。商品説明や提案、免税手続きなどの場面で全国全10店舗の店頭に定着し、丁寧な接客を通じた購買単価の向上をねらう運用につながりました。

    導入事例の詳細はこちら

    インバウンド対策を成功させるためのポイント

    ポイントと書かれた紙とデスク

    施策を並べただけでは成果は安定しません。運用の設計段階で押さえておきたいポイントは、次の3つです。

    • 外国人目線でのマーケティングと需要の把握
    • 対策の優先順位の決定
    • Webコンテンツの多言語化

    詳細を見てみましょう。

    外国人目線でのマーケティングと需要の把握

    自社の思い込みで施策を決めると、的を外しかねません。まずは相手が何に困り、何を求めているかを起点に置く必要があります。

    旅行中の困りごとの上位は「ごみ箱の少なさ」と「スタッフとのコミュニケーション」で、人が関わる領域が課題として残り続けています。無料Wi-Fiのように設備投資で解決できる項目はおおむね片付き、残ったのは人的対応の領域だと読み取れるでしょう。

    自店舗の客層は決済データや宿泊者名簿からある程度把握でき、想像ではなく数字で対象市場を絞れます。全国平均は東アジアが中心ですが、地域や業態によって構成は大きく異なるため、自社データの確認が欠かせません。

    対策の優先順位の決定

    すべてを一度に整えるのは現実的ではありません。効果と負担を天秤にかけ、着手順を決める作業が成否を分けます。

    すでに外国人客が来ている店は受け入れ体制を、これから集客する店は認知の入口を先に整えるのが基本です。有人対応を割り当てる順番も、契約事項や交渉事項、アレルギー確認、緊急時対応といった、誤ると取り返しがつかない会話から手をつけると効果的です。

    対応言語についても、10言語を浅く並べるより、客層データ上位の3言語を深く整えるほうが、旅行者の体験は良くなります。

    Webコンテンツの多言語化

    オンラインの情報は、無人で24時間働く接客係です。ここを整えておくと、現場の対応負荷そのものを下げられます。

    料金や禁止事項、キャンセル規定など、誤読が損失につながる文言から優先して翻訳しましょう。更新の運用ルールを決め、日本語版と外国語版の情報がずれない体制をつくることも大切です。特定の担当者に依存させず、誰が対応しても同じ品質になる仕組みを、人材採用より先に整えておくと、体制が長続きします。

    必要なインバウンド対策は業種や店舗によって異なる

    インバウンド対策に唯一の正解はありません。飲食店ならメニューの食材表記、小売店なら免税制度への対応、宿泊施設なら緊急時の言語対応、自治体なら生活相談の正確性と、優先すべき打ち手は業種によって異なります。

    2026年は消費構成の入れ替わり、出国税の3,000円への引き上げ、免税のリファンド方式への移行と、外部環境が大きく動いた節目でもありました。共通して言えるのは、訪日客数の伸びが緩やかになったいま、客数を追う発想から単価と再訪を高める発想へ切り替える必要があるという点です。具体的には、追加注文につながる提案の多言語化で単価を上げ、会員化やクーポンの多言語案内で再訪を促す、といった打ち手が考えられます。

    そのなかで最初に着手したいのが、誤ると損失が大きい会話への手当てです。契約事項や交渉事項、アレルギー確認、緊急時対応といった場面は、機械翻訳だけに任せると後日のトラブルにつながりかねません。こうした言語の壁に関わる部分は、自社だけで完結させにくい領域でもあります。外国語人材の採用と教育には時間がかかり、来店のタイミングに合わせて常時配置しておくのは現実的ではないためです。

    ポリグロットリンクは、映像通訳「テレビde通訳」、電話通訳「電話de通訳」、多言語コンタクトセンターの運営代行、翻訳・ローカライズ支援を提供しています。自社運営のコールセンターから通訳オペレーターが対応するため、契約や交渉を含む専門的なやり取りにも対応でき、全国の自治体・宿泊施設・商業施設での導入実績があります。どの場面に有人通訳を配置し、どこまでを既存のツールで賄うか。自社の客層と業態に合わせた設計から、お気軽にご相談ください。

    ■株式会社ポリグロットリンク

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