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  3. 訪日外国観光客の受け入れに必要な対策とは?具体策を解説
インバウンド 2026.09.02

訪日外国観光客の受け入れに必要な対策とは?具体策を解説

インバウンド対応 多言語対応
ガイドブックを見て日本を楽しむインバウンド観光地

目次

    2025年、日本を訪れた外国人旅行者は初めて4000万人を超え、4268万人に達しました。ところが2026年に入ると総数は前年割れに転じ、中国市場が大きく減る一方で韓国や台湾、米国、インドは過去最多を更新しています。増えているのか減っているのか、という問いの立て方だけでは、現場の判断を誤らせる段階に入ったといえるでしょう。

    本記事では、訪日外国人観光客の受け入れ対策を、注目される背景からメリット・デメリット、集客の取り組み、そして現場で整えるべき具体策を解説します。

    訪日外国観光客(インバウンド集客)が注目されている理由

    ビザが発行されたパスポート

    訪日外国人旅行消費額は2025年に9兆4559億円へ達し、輸出産業として自動車産業に次ぐ規模へと存在感を増しました。国内市場が縮小するなかで、外需を取り込める成長領域として、観光が国家政策の中心に据えられています。まずは、この背景を二つの角度から押さえておきましょう。

    人口減少による新たな需要を創出するため

    日本は人口減少局面に入り、国内消費だけに依存する事業モデルは中長期で縮小を避けられません。外国人観光客の消費は、この縮むマーケットを外から補う需要として機能します。

    とりわけ地方は人口流出が著しく、地元客だけでは維持できない飲食店や宿泊施設にとって、旅行者の消費は事業継続の下支えになりえます。移住や定住のハードルが高くても、観光であれば繰り返し訪れてもらえるでしょう。リピーターを含めた関係人口として地域に関わってもらう発想が広がっています。

    インバウンド戦略を政府が推進しているため

    2026年3月27日、政府は第5次となる観光立国推進基本計画を閣議決定し、2030年に訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円という目標を据え置きました。あわせて、地方部の延べ宿泊者数を2025年の約5873万人泊からおよそ倍の1.3億人泊へ、地方部への訪問意欲が高いリピーター4000万人、誘客と住民生活の質の確保を両立する地域を前次計画から倍増となる100地域とする目標が新たに掲げられています。

    観光が戦略産業と位置づけられ、補助金や規制の環境も計画に沿って更新される見込みです。政策の後押しがある今は、受け入れ整備に踏み出しやすい時期といえます。

    インバウンドが与えるメリット

    笑顔で日本を楽しむインバウンド観光客

    経済効果と地域活性化、雇用創出という三つの効果は、いずれも単発ではなく地域内で循環しながら積み上がっていく点に特徴があります。ただし、これらは受け入れ環境が整っていて初めて発生するものです。整備を怠れば、旅行者が来ても消費が地域外へ流出してしまいます。それぞれ詳しく見てみましょう。

    高い経済効果が見込める

    円安や物価上昇を背景に、欧米豪など滞在の長い市場が伸び、旅行者一人あたりの支出も高止まりしています。2025年の旅行消費額は前年比16.4%増の9兆4559億円と過去最高を更新し、一人あたりの旅行支出も22万9000円に達しました。

    旅行者の支出は宿泊、飲食、交通、物販、体験と複数の業種にまたがり、近年は買い物中心から宿泊・飲食といった滞在型へと重心が移っています。一施設の売上にとどまらず、地域経済全体に波及するのが観光消費の性質です。

    地域活性化に貢献できる

    旅行者の関心は主要観光地だけでなく、その土地固有の食文化や祭り、自然、暮らしそのものにも向かっています。これまで埋もれていた地域資源が、収益源に変わる可能性があります。

    とくに東アジアのリピーターは地方訪問への意欲が高く、自然や温泉、祭りが地方誘客の鍵になるとされているのです。都市部で日本を知った旅行者を、二度目以降に地方へ呼び込む流れが生まれつつあります。

    新たな雇用の創出につながる

    宿泊や飲食、交通、案内といった観光関連の現場では、旅行者の増加がそのまま人手の需要につながります。地方における働き口の確保という側面も見逃せません。加えて、多言語対応や海外向けの情報発信など、これまで地方になかった職種が生まれる面もあるでしょう。

    ただし観光関連は、人手不足が深刻な業界でもあります。帝国データバンクの調査によれば、2025年10月時点で旅館・ホテル業の56.4%が正社員の不足を感じており、後述する仕組み化との両立が課題になっています。

    インバウンドが与えるデメリット

    スーツケースを持っているインバウンド観光客

    旅行者の増加は、住民の生活環境への負荷という形でも跳ね返ります。具体的なデメリットは、以下のとおりです。

    • オーバーツーリズム・オーバーブッキング
    • ゴミや騒音・渋滞
    • 多言語対応

    誘客と住民生活の両立が政策目標に掲げられたこと自体、この問題の深刻さを物語っています。もっとも、デメリットの多くは事前の設計と情報発信で相当程度まで抑えられます。放置するか手を打つかで、地域の受け止め方は大きく変わってきます。詳しく見てみましょう。

    オーバーツーリズム・オーバーブッキング

    特定の観光地や時間帯に旅行者が集中すると、住民の日常生活が圧迫されます。観光庁調査では、混雑に困ったと答えた割合は都市部を訪れた人で14%、地方部のみの人で6%と、都市部への集中が数字にも表れています。

    困った内容としては、スムーズに移動できなかったが66%と最も多く、見たいものが十分見られなかったが47%、混雑状況が分からなかったが33%と続きました。旅行者は混雑そのものより、事前に予測できず動きを取れなかったことに不満を抱いています。時間帯の分散や代替ルートの提案は有効な対策になりますが、その情報が旅行者の母語で届かなければ機能しません。

    ゴミや騒音・渋滞

    旅行者調査で、旅行中に困ったことの最上位はごみ箱の少なさ(17.2%)でした。困った場所は観光スポットや観光案内所が約7割を占め、観光地に向かう過程や駅・バスターミナルがこれに続きます。

    また、生活習慣の違いから生じる騒音や、観光車両による渋滞も、住民の不満として蓄積しやすい項目です。いずれも旅行者の悪意というより、ルールや背景が伝わっていないことに起因する場合が多く、後述する説明の工夫で緩和できる余地があります。

    多言語対応

    言葉の壁は、旅行者と事業者の双方にとって最も日常的な負担です。旅行者調査でも、施設等のスタッフとのコミュニケーションは困りごとの第2位(15.4%)に入り、困った場所は飲食店が38%、駅やバスターミナルが27%を占めました。困ったときは翻訳アプリなどのICTツールで対応した人が68%にのぼります。

    裏を返せば、旅行者が自力で乗り切った離脱は事業者に伝わらず、機会損失として静かに積み上がっているのです。とくに携帯やレンタカーの契約、料金や条件の交渉、アレルギーや緊急時など正確さが求められる場面では、対応を誤ったときのコストが跳ね上がります。多言語対応は、最も投資判断の腕が問われる領域だといえるでしょう。

    インバウンドを新たに呼び込むための取り組み

    インバウンドでにぎわう渋谷の交差点

    集客と受け入れは車の両輪です。呼び込んでも受け入れが伴わなければ満足度が下がり、リピートにはつながりません。2026年の市場は、中国のように外部要因で半減しうる一方、複数市場に需要が分散する構造へと変わりつつあります。単一市場に依存しない集客設計が、いっそう重要になっています。具体的な取り組みを見てみましょう。

    海外向けコンテンツの拡充

    旅行前の情報収集は、検索エンジンだけでなくSNSや動画が主流になりました。母語で検索したときに公式情報が正確に表示されるかどうかが、そもそも旅行先の候補に入るかを左右します。

    注意したいのは更新の問題です。日本語ページだけが更新され、外国語ページに古い営業時間が残る状態は、情報がないより信頼を損ないます。動画字幕やSNS投稿の多言語化まで含めて、発信の入口を整えておきたいところです。

    多言語対応のWebサイトについては、以下の記事で詳しく解説しています。

    関連記事:多言語対応するには?インバウンドに強くなるためのコツを解説

    海外でのイベントや展示会への参加

    現地の旅行博や商談会に出展することで、海外の旅行会社やメディアと直接つながる機会が生まれます。個社では難しくても、自治体や地域単位での参加なら現実的です。現地に足を運ぶことには、その市場が日本の何に関心を持っているかを肌で把握できるという利点もあります。

    観光プログラムの実施

    見るだけの観光から、体験する観光へと関心が移っています。その土地でしか味わえない食や伝統文化、自然を組み込んだプログラムは、滞在の長期化と消費単価の上昇につながります。特に地方では、体験の設計次第で滞在日数を延ばせるかどうかが、宿泊者数の目標達成を大きく左右するでしょう。

    国内の訪日外国人へのPR

    すでに日本を訪れている旅行者に、次の訪問先や地域内の別スポットを案内するアプローチです。ゼロから新規を獲得するより費用対効果が高い場合が多くあります。都市部で日本を知った旅行者を、二度目以降に地方へ誘導する流れは、地方誘客を掲げる政策方針とも合致します。

    外国人観光客を受け入れるためにしておきたい具体策

    外国語対応しているサイト

    限られた予算をどこから投じるかは、その接点の発生頻度と、コミュニケーションに失敗したときのコストという二軸で分類すると判断しやすくなります。高頻度で失敗するコストの低い接点、たとえば注文や道案内、会計は、人ではなく仕組みで吸収するのが合理的です。

    反対に、携帯やレンタカーなどの契約事項、料金や条件の交渉事項、アレルギー確認、緊急時対応といった失敗コストの高い接点にこそ、有人の通訳の価値があります。以下の各施策も、この二軸のどこに位置づくかを意識すると効果が見えやすくなるはずです。

    Webコンテンツの多言語化

    予約サイトや公式ページが母語で正確に表示されることは、旅行先の候補に入るための前提条件です。到達前の段階でふるい落とされないための投資と位置づけられます。

    設計にあたっては、制作費だけでなく更新の運用体制まで含めて考えておきたいところです。前述のとおり、外国語ページに古い情報が残る状態は、情報がないよりかえって信頼を損なってしまいます。

    キャッシュレス決済の導入

    旅行者調査では、クレジットカードやデビットカードの利用に困ったという回答が一定数残っており、困った場所は飲食店が最も多くなっています。

    決済環境の整備は、いまだ費用対効果の高い投資です。現金のみの店舗や交通機関は、それ自体が離脱の要因になります。とくに地方の二次交通での未対応は、旅行者の行動範囲を狭めてしまうでしょう。

    Wi-Fiの導入

    旅行者は移動中の経路検索や翻訳アプリの利用に通信を必要とします。通信環境の有無が、ICTツールでの自力解決の可否を左右するでしょう。

    なお、過去の調査では通信環境への不満は減少傾向にあり、整備が進んだ領域といえます。それでも移動中の空白地帯は残っており、地域単位での面的な整備が課題として残っているのが現実です。

    チャットボットの導入

    よくある質問への一次対応を自動化すれば、スタッフの負担を減らしつつ、深夜や繁忙時間帯でも旅行者の疑問に答えられます。

    ただし、定型的な問い合わせに向く一方で、契約や交渉、アレルギー確認、緊急時など、個別性が高く正確さを要する相談には限界があります。有人対応との切り分けを前提に導入するのが現実的です。

    この一次対応の部分を多言語で担うサービスとして、ポリグロットリンクのAIチャットボット「AIポリチャ」があります。定型的な問い合わせをAIで受けつつ、判断の難しい相談は有人へ引き継ぐという役割分担を、そのまま仕組みに落とし込み可能です。

    多言語対応したメニューや案内の作成

    注文や施設利用といった高頻度の接点は、写真や番号による指差し、多言語メニューで大部分を吸収できます。人手をかけずに離脱を防げる、投資効率のよい打ち手です。案内表示については、翻訳ではなく説明と捉え直すのがポイントです。入浴前に体を洗う、ごみを分別するといったルールは、なぜそうするのかを一行添えるだけで伝わり方が変わります。

    一方、出汁の鰹節やみりんの酒精、豚由来のゼラチンなど、日本の食文化に固有の事情は単語の置き換えでは伝わりません。こうした宗教上・アレルギー上の確認や、携帯・レンタカーの契約、条件の交渉といった正確さを要する場面には、双方向でやりとりできる有人の通訳が最も効きます。

    なお、メニューや案内、Webサイトの多言語化を自社だけで進めるのが難しい場合は、ポリグロットリンクの「多言語Webサイト制作・翻訳」のように、単なる直訳ではなく背景まで踏まえた多言語化を委ねられるサービスもあります。

    訪日外国人観光客の受け入れは準備を徹底的に

    外国人観光客の受け入れは、設備を揃えれば終わる作業ではありません。中国市場の急変が示したように、前提そのものが年単位で動く領域です。総数の増減に一喜一憂するのではなく、自社が旅行者と接する場面をすべて書き出し、それぞれの発生頻度と失敗コストを見積もることから始めたいところです。高頻度・低コストは仕組みで、低頻度・高コストは人で。この切り分けができれば、限られた予算の配分先はおのずと決まってきます。

    通訳をどう用意するかも、この延長線上にあります。自社で人材を抱える固定費と、必要なときだけ外部につなぐ変動費のどちらで設計するかが分かれ目でしょう。外部ショックで特定市場が半減しうる前提に立てば、変動費として備える発想も検討に値します。どの言語を、どの時間帯に、どの深さで用意すべきかは、業種や立地、客層によってまったく変わってくるのです。

    ポリグロットリンクは、官公庁や地方公共団体、宿泊施設、交通機関、商業施設への多言語対応の導入実績を重ねており、必要な対応の範囲がまだ定まっていない段階でも、接点の洗い出しから相談できます。どこから手をつけるべきか迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。

    ■株式会社ポリグロットリンク

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